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「無観客五輪」に現実味 東京リバウンド傾向、534人感染 - 産経ニュース

東京都庁(中央手前)
東京都庁(中央手前)

東京都で新型コロナウイルスのリバウンド(感染再拡大)傾向が顕著になってきた。緊急事態宣言が解除され、21日から「蔓延(まんえん)防止等重点措置」に移行したばかりだが、期限の7月11日での解除は困難との見方が早くも広がり、4度目の宣言発令すら視野に入っている。東京五輪は「最大1万人」の有観客開催が決まったものの、方針通りに開会式を迎えられるかは予断を許さず、無観客開催も現実味を帯び始めた。

「緊急事態宣言を再度、発令することも十分念頭に置いている」。田村憲久厚生労働相は25日の記者会見で、再び宣言を発令する可能性に言及し、東京でのリバウンドに強い警戒感を示した。

東京都の26日の新規陽性者数は534人で、4日連続で前週の同じ曜日から100人以上増えた。都のモニタリング会議は24日、「感染再拡大の予兆が見られる」と分析。厚生労働省の助言組織も23日に「若い人を中心に都心部から感染が始まっている」(脇田隆字座長)との見解を示した。

今後も感染が増えそうな要素しか見当たらない。人流が増加しており、重点措置への移行で酒類規制を緩和した影響は7月上旬から現れてくる可能性が高い。感染力が強いインド型変異株の蔓延も時間の問題とみられ、23日の専門家会合では「7月初旬には50%程度がインド型に置き換わる」との試算も示された。

重点措置は7月11日が期限だが、専門家の間では「このままでは解除は難しい」との見方が支配的だ。ある閣僚は緊急事態宣言について「7月11日より前に出すこともありうる」と語る。東京の場合、1日当たり新規感染者数が500人超で、宣言発令の目安である「ステージ4」となる。

一方で政府内には、感染者数が増えても宣言発令を急ぐ必要はないとの見方もある。ワクチン接種の進展により重症化する人の割合が減り、感染増が従来ほど病床を圧迫しなくなると見込めるからだ。

政府は最近「特に病床の状況が大事だ」(西村康稔経済再生担当相)など、宣言発令に際し、感染者数より病床を重視する考えをにじませている。ただ、そうした政府の姿勢に専門家は「非常に危うさを感じる」(分科会メンバー)と警戒感を強めている。

五輪をめぐる5者協議では、7月12日以降に宣言や重点措置が適用されれば「無観客も含めて対応する」と決めており、宣言発令や期限延長は無観客開催に直結する。菅義偉首相は早晩、難しい判断を迫られることになる。(千葉倫之)

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