【シリコンバレー=佐藤浩実】米ウォルト・ディズニーは11日、約14年にわたってナイキの最高経営責任者（CEO）を務めたマーク・パーカー氏を会長に指名すると発表した。3月にも開く株主総会を経て就任する。ディズニーにとって長年の課題である、ボブ・アイガーCEOの後継者探しも指揮する。
パーカー氏は2006年にナイキのCEOに就任し、品ぞろえの拡大などを通じてブランドを育てた。20年にIT（情報技術）業界出身者にCEOを引き継ぎ、会長職に専念していた。16年からディズニーの取締役を務めている。
パーカー氏は、ディズニーが新設する「後継者育成計画委員会」も率いる。アイガーCEOの後継者候補について助言する組織で、ナイキでCEO交代を成功させた経験を生かす。パーカー氏は声明で「後継CEO探しは最優先事項で、プロセスは始まっている」と述べた。
株主総会、委任状争奪も
一方で、ディズニーをめぐっては9億ドル分の同社株を保有する米アクティビスト（物言う株主）のトライアン・パートナーズが、共同創業者のネルソン・ペルツ氏を取締役会に加えるよう求めている。ディズニーは11日にこの提案に反対すると表明し、株主にもトライアンの案を支持しないよう勧めるとした。
トライアンも11日に声明を出し、株主総会に向けて委任状争奪戦（プロキシー・ファイト）に臨む方針を示した。声明では「大きな優位性があるにもかかわらず、最近の株価と業績は期待外れだ」と指摘し、動画配信事業の戦略や後継者育成方法の見直しを求めるとした。
ディズニーでは、22年11月に復帰したアイガー氏の後継者探しが大きな課題になっている。20年にはボブ・チャペック氏が後を継いでCEOに就任したものの、短期間で更迭された。一方で、15年にわたりCEOを務めたアイガー氏の影響力が強すぎるとの指摘もある。
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