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米連邦最高裁、経口中絶薬の使用継続を認める 下級審の判決覆し - BBCニュース

Protester for and against abortion at the US Supreme Court

画像提供, Getty Images

米連邦最高裁は21日、国内で広く流通している経口中絶薬の使用を従来通り認め、下級審の判決を覆した。中絶薬への制限についても認めなかった。

最高裁(判事9人)は、20年以上普及し妊娠初期の中絶に使われている経口中絶薬「ミフェプレックス」(一般名:ミフェプリストン)をめぐり、米テキサス州の連邦地裁判事が今月7日に認可を一時停止した判断について、それを覆した。「ミフェプレックス」の郵送を禁止する使用制限も、最高裁は棄却した。判事9人のうち少なくとも2人が、多数意見に反対した。

これを受けて、「ミフェプレックス」の使用をめぐる訴訟は、第5巡回区連邦控訴裁に差し戻される。控訴裁での差し戻し審は5月半ばに始まる見通しだが、アメリカではそれまではミフェプリストンが従来通り使えることになった。

テキサス州では人工中絶に反対する市民団体が、ミフェプレックスの安全性確認が不十分だと主張して使用停止を連邦地裁に訴えていた。

これについて、ドナルド・トランプ前大統領が在任中に指名したマシュー・カズマリク判事は今月7日、原告の訴えを認め、米食品医薬品局(FDA)によるミフェプリストンの認可は、特定の医薬品に関する迅速認可のルールに違反したとの判断を示した。さらに、ミフェプリストンの「心理的影響」をFDAが「十分に考慮しなかった」ことの「重大性は看過できない」と指摘し、「生殖機能が発達中の18歳未満の少女への影響」が確認されていなかったと述べた。

FDAは2000年にミフェプリストンを初認可するまで、審査に4年かけている。

テキサス連邦地裁の判断から約1時間後、ワシントン州の連邦地裁は別の訴訟において、バラク・オバマ元大統領の在任中に指名された判事が、ミフェプリストンの使用継続を認めた。

司法省は、ミフェプリストンの製薬会社と共にテキサス州の連邦地裁判断を上訴。第5巡回区連邦控訴裁は、審理継続中はミフェプリストンの使用を認めるとした上で、郵便での処方を禁止していた。

21日の連邦最高裁判断は、テキサス州の連邦地裁と控訴裁の決定をいずれも覆した。このため、アメリカでは当面、ミフェプリストンを従来通り制限なく使えることになった。

今回の最高裁判断への反対を公表した判事2人は、保守派のクラレンス・トーマス氏とサミュエル・アリート氏。トーマス判事は反対理由を明示しなかったが、アリート判事は、最高裁が期限の直前に判決を出すのは好ましくないと述べた。この件について最高裁は21日中に判断を示す必要があり、同日午後8時過ぎに判断を公表した。

最高裁の判断について、テキサス州でミフェプリストンの使用停止を求めた市民団体「自由防衛同盟」は、FDAが「無数の女性や少女の健康を損なった責任をとらなくてはならない」として、「訴訟の最終的な判断がいずれFDAに責任を取らせることを期待する」と述べた。

他方、アメリカ産科婦人科学会をはじめ複数の医療関係者は、最高裁の判断を歓迎した。

米ジョージタウン大学のローレンス・ゴスティン教授(国際健康法)は、「もう20年も流通してきたミフェプリストンのような薬のアクセスを制限するのは、今のきわめて激しく保守的な最高裁にとっても、さすがに越えがたい一線だった」と述べた。

ミフェプリストンへの制限は、アメリカの医薬品承認手続きに「計り知れない」害を与えると教授は指摘し、これが許されるならば「FDAが認可するあらゆる薬が、今回のような『狩り』の対象になり得る」と懸念した。

女性の人工中絶権を支持する政治家たちも、最高裁の判断を支持。ジョー・バイデン大統領は、引き続きFDAの独立性を守り、「女性の健康に対する(政治的な)攻撃」に反撃していくと述べた。

ニュージャージー州で人工中絶処置を提供する産科のクリスティン・ブランディ医師は今回の判決で一安心だと話した。判決が明らかになるまでは、22日からクリニックを訪れる人たちにどのような処置が提供できるのか、はっきりしなかったからだという。

「明日の朝7時に、患者さんたちは必要なケアを受けられる。今日の時点で大事なのはそれだけです」

ミフェプリストンとは

ミフェプリストン(ミフェプレックス)を使った妊娠中絶は二剤併用で行われる。最後の月経開始日から70日以内の妊娠初期に、ミフェプリストンを内服する。ミフェプリストンには、妊娠状態を保つために必要なホルモンの働きを抑える作用がある。続いて、ミソプロストールで子宮の入り口を開き、陣痛を起こさせる。

FDAは承認当初、妊娠7週までの使用を認め、2016年に妊娠10週まで延長した。

流産や、クッシング症候群(副腎皮質ステロイドホルモンの過剰分泌による病気)の治療にも使われる。

FDAや米産婦人科学会(ACOG)のほか主な医学団体は、ミフェプリストンとミソプロストールの使用は安全だと認めている。

日本での使用は未承認だが、NHKによると、厚生労働省の専門家分科会は21日、ミフェプリストンとミソプロストールを組み合わせた販売名「メフィーゴパック」(英ラインファーマ社が開発)を、国内で初めて承認することを了承した。

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